医師が手術を勧める基準

変形性ひざ関節症になったからといって、いきなり手術を行うわけではありません。まずは運動療法や薬物療法を始めとする保存療法を行うことが多いでしょう。これらで改善が見られないケースにおいて手術が検討されるわけですが、医師が患者へ手術を勧めるポイントとしては次のようなものが挙げられます。

進行度

変形性ひざ関節症には、その進行度合いを4段階に分けたグレードという診断基準があります。これは、ひざ関節での骨の損傷具合をレントゲン画像に当てはめた基準です。グレード3以上の場合、医師が手術を勧めることが多いでしょう。ただし、グレード2でも手術を検討すべきケースはあります。

保存療法の継続期間

保存療法の効果を測る期間として、6ヵ月間という目安があります。この期間でひざの痛みが改善されているかどうかが、手術を検討する一つの判断ポイントとなります。

日常生活への影響

期間に関わらず、痛みで日常生活に支障が出ているような場合は、手術の検討タイミングと言えるでしょう。軟骨のすり減りが進行し、骨自体も損傷している可能性があるからです。

手術を希望するかどうか

患者が手術を希望するかどうか、ということも、手術の判断ポイントとして重要です。耐え難い痛みがある場合、進行度や保存療法の継続期間に関係なく、手術を検討します。逆に言うと、手術を受けたいという希望がなければ、医師が無理に手術を勧めることはありません。

手術方法

変形性ひざ関節症の手術には「関節鏡視下手術」「骨切り術」「人工関節置換術」の3つがあります。

関節鏡視下
手術
高位脛骨
骨切り術
人工関節
置換術
進行度の
目安
初期 中期 末期
メリット 傷が小さい
低負担
活動的な生活可 痛みの解消
歩行可能
デメリット 再発リスク 長期リハビリ 約20年で交換
体への負担大
入院期間 1週間ほど 3週間ほど 2週間〜数カ月
手術費用 3割:5万円
1割:2万円
3割:10〜12万円
1割:3〜4万円
3割:24万円
1割:8万円
※材料費や麻酔代に幅があるため、手術費用は概算です。また、入院費は含まれていません。

関節鏡視下手術

関節鏡視下手術(デブリドマン手術): ひざに2、3カ所つくった6mmほどの小さな切開口から内視鏡(カメラが搭載された細い棒状の器具)を挿入し、関節内をモニターで見ながら行う手術です。

ひざに数カ所の小さな穴を開け、棒状の内視鏡を挿入して行う手術です。関節内をモニターで見ながら行うため、ひざの切開は不要。この手術の目的は痛んだ組織を取り除くことで、軟骨や半月板がすり減ったり、毛羽立ったりしている場合などに行われることがあります。また、軟骨の状態をチェックする目的で行われるケースも見られます。
ただ、一時的に関節内の環境を整えて症状を緩和させる対症療法の意味合いが強く、治療として行うことはあまり推奨されていません。

骨切り術

骨切り術とは、太ももの大腿骨やすねの脛骨を切って、金属プレートで固定する手術です。すねの骨を切る方法と太ももの骨を切る方法がありますが、すねの骨に行う高位脛骨(こういけいこつ)骨切り術が多く行われます。
ひざ関節で骨が向き合う角度を調整することでO脚やX脚を矯正し、関節内のダメージ拡大を防ぐのが、骨切り術の目的です。切り込みを入れたところには人工骨を入れますが、時間をかけて自身の骨とくっついていきます。関節に直接行う手術ではないため、自分の関節を残すことができるという点が大きなメリット。入院期間は4〜5週間ほどで、松葉杖で歩行できるようになるまでは1〜2週間程度が目安です。また、退院後もリハビリを継続します。
手術の適応には、ひざ関節の内側か外側のどちらかが正常に保たれている、という条件があります。両方が損傷している場合、手術を受けることはできません。つまり、変形性ひざ関節症が末期まで進行する前が、この手術のタイミングなのです。

オープン・ウェッジ法
脛骨の内側を切り開く方法です。
脛骨を切開 / 開いた部分に人工骨を入れる 金属で固定
クローズド・ウェッジ法
脛骨の外側と腓骨(ひざ下の外側にある細い骨)をくさび状に切除し、つなぎ合わせる方法です。
脛骨と腓骨の一部を切除 / 切り取った部分を合わせてプレートで固定

人工関節置換術

人工ひざ関節置換術後のレントゲン画像

損傷した骨を削って形を整え、人工の関節をはめ込む手術です。部分的に人工関節と置き換える方法と、全体を置き換える方法の2種類がありますが、いずれも他の手術と異なるのは、問題のあるひざ関節の部分を取り除くことで、痛みをほぼ消失させられるという点です。手術自体に明確な年齢制限はありません。高齢であっても、リハビリを行える体力があり、手術について理解のできる方であれば、問題なく手術を受けられます。
手術時間は1〜2時間が目安。術後は早めにリハビリを開始します。退院は3〜4週間が一般的で、リハビリは退院後にも継続する必要があります。

一方、人工関節の付け替え(再置換)の可能性があることが、懸念点として挙げられます。インプラントにはチタン合金やポリエチレンなどの耐久性に優れた素材を使用しますが、摩耗や脱臼が起きてしまうと、一度取り外して付け替える手術が必要となるケースがあるのです。また、耐用年数を全うした場合も同様です。この手術を若年層に適応するかどうかの判断は、慎重に行う必要があります。

人工ひざ関節単顆置換術
ひざ関節の内側か外側の損傷が激しい部分のみ、人工関節に置き換える方法です。
ひざ関節の内側だけ、もしくは外側だけなど、損傷が激しい部分だけを人工関節に置き換える方法
人工ひざ関節全置換術
ひざ関節全体を人工の関節に置き換える手術です。
ひざ関節全体を人工関節に置き換える手術

当院は入院のいらない治療を提案

一般的な治療では、保存療法で改善されなければ手術療法という、言わば極端な選択を迫られます。手術はたしかに有効な治療法ですが、ひざを切開することへの抵抗や、入院への不安など、デメリットも少なくありません。手術は絶対に受けたくないと思う方も大勢いらっしゃるでしょう。
そこで当院では、再生医療を中心に、ひざを切らない先進的な治療法を提供しています。入院の必要がなく、日帰りで受けられる治療法です。ご興味をお持ちの方は、下記のページをご覧ください。

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